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【韓国映画】#10 『スノーピアサー (설국열차)』レビュー

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こんにちは!HanFilmです🌸

今回紹介するのは映画

 

『スノーピアサー』

(原題: 설국열차)

 

基本情報

監督   ポン・ジュノ

韓国公開 2013年8月1日

ジャンル SF、アクション、ドラマ

上映時間 125分

制作会社 모호필름, 오퍼스픽쳐스

 

2019年アカデミー賞の大賞を受賞した映画『パラサイト』ポン・ジュノ監督作品です。これは韓国映画というより完全にハリウッド映画と呼ぶでしょう。

 

それにしてもポン・ジュノ監督の目の付け所は毎回本当に良いです…。2020年にはアメリカでテレビドラマ版が製作され、こちらもポン・ジュノが製作総指揮を担当しました。

 

TNTで放送され、その後Netflixが放送権を獲得したので、日本でもNetflixで配信中(2020年9月29日現在)です。

 

 

あらすじ

2014年、地球温暖化を食い止めるため、政府は化学物質CW-7を散布。それにより地球上のほぼ全ての生物が死に絶えた。

 

それから17年後、化学物質によりポスト氷河期となった地球。生き延びた人間たちは、「スノーピアサー」という長い長い列車の中で暮らしていた。

 

各車両ごとに社会階層が明確に仕切られた列車の中で、カーティス(クリス・エヴァンス)とエンジニアのナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)は、富裕層による支配を終わらせるため、最後尾から先頭車両のエンジンを目指すのだが―。

 

キャスト

カーティス役 クリス・エヴァンス

 

 
 
 
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(引用: クリス・エヴァンス公式インスタグラム)

 

1981年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『ジェイコブを守るため』他。

映画

『ファンタスティック・フォー』、『キャプテン・アメリカ』シリーズ、『アベンジャーズ』シリーズ、『マイティー・ソー/ダーク・ワールド』、『アントマン』、『ギフテッド』、『キャプテン・マーベル』、『ナイブズ・アウト』他。

 

言わずと知れたマーベルヒーローですね。

 

近年の出演作品はほぼマーベル関連ですが、2019年の映画『ナイブズ・アウト』では、そんな正義のヒーローとは真逆の、問題児として登場しました。 

ナムグン・ミンス役 ソン・ガンホ(송강호)

 

 
 
 
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(引用: CJエンターテイメント公式インスタグラム/写真中央)

 

1967年生まれ。

 

出演作品

映画

『シュリ』、『JSA』、『殺人の追憶』、『大統領の理髪師』、『親切なクムジャさん』、『グエムル-漢江の怪物-』、『渇き』、『凍える牙』、『弁護人』、『密偵』、『タクシー運転手 約束は海を越えて』、『パラサイト 半地下の家族』他。

 

映画『パラサイト』で圧倒的な知名度を獲得しましたが、90年代後半から名作に名を連ねています。

 

彼の持つ人間臭さは韓国社会を表すのにいつも必要だと言える存在です。

 

そして、今まで気づかなかったのですが、ソン・ガンホさんはテレビドラマへの出演歴が全くありません!

 

映画俳優として活動してきたので、テレビ出演する理由がなく、考えたことがないとか…。映画だけでここまで上り詰めるのは、すごいですね。

ヨナ役 コ・アソン(고아성)

 

 
 
 
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(引用: コ・アソン インスタグラム)

 

1992年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『悲しき恋歌』、『心ふるわせて』、『ドラゴン桜』、『風の便りに聞きましたけど⁉︎』、『自己啓発オフィス』、『ライフ・オン・マーズ』他。

映画

『グエムル-漢江の怪物-』、『楽しき人生』、『冬の小鳥』、『スノーピアサー』、『ビューティー・インサイド』、『戦場のメロディ』他。

 

映画『グエムル-漢江の怪物-』に続き、ソン・ガンホと親子役で共演しました。見慣れた親子役ではありますが、ガラッと雰囲気の違う印象です。

 

エドガー役 ジェイミー・ベル

 

 
 
 
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(引用: ケイト・マーラ公式インスタグラム)

 

1986年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『ターン:ワシントンのスパイたち』他。

映画

『リトル・ダンサー』、『キング・コング』、『父親たちの星条旗』、『ジャンパー』、『タンタンの冒険』、『ファンタスティック・フォー』、『リヴァプール、最後の恋』、『ロケットマン』他。

 

ビリー・エリオットが大人になった!と思っている場合ではないですね(笑)

 

2019年には映画『ロケットマン』で、エルトン・ジョン親友バーニー役を熱演した実力派です。

メイソン役 ティルダ・スウィントン

 

 
 
 
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(引用: SoFilm インスタグラム)

 

1960年生まれ。

 

出演作品

映画

『エドワードⅡ』、『バニラ・スカイ』、『ナルニア国物語』シリーズ、『フィクサー』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『少年は残酷な矢を射る』、『ムーンライズ・キングダム』、『ゼロの未来』、『グランド・ブダペスト・ホテル』、『ドクター・ストレンジ』、『オクジャ』、『犬ヶ島』、『サスペリア』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『The French Dispatch』、『ピノキオ』他。

 

ドラマ出演はあるものの、ほとんどがドキュメンタリーやゲスト出演です。ポン・ジュノ監督とは映画『オクジャ』でも共作しました。

 

ウェス・アンダーソン作品への出演が多いですよね。

 

また、映画『ナルニア国物語』の白い魔女がとても印象的でしたが、同じ銀世界の中の『スノーピアサー』では薄気味悪いリーダー役でした。

 

作品によって、温かみのある演技から、癖のある役まで、幅広い演技に魅了されます。

 

ターニャ役 オクタヴィア・スペンサー

 

 
 
 
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(引用: オクタヴィア・スペンサー公式インスタグラム)

 

1970年生まれ。

  

出演作品

ドラマ

『ER』、『X-ファイル』、『CSI:NY』、『アグリー・ベティ』、『真相 - Truth Be Told』他。

映画

『スパイダーマン』、『キューティー・ブロンド』、『SWAT』、『7つの贈り物』、『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』、『フルートベール駅で』、『ダイバージェントNEO』、『パパが遺した物語』、『ズートピア』、『ドリーム』、『ギフテッド』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『ルース・エドガー』他。

 

1話限りで数多くのドラマに出演しているので、レギュラーキャストでなくても、絶対にどこかで見たことがある女優さんです。

 

人種差別を取り扱った映画への出演も多いですが、本作も間接的にそんな要素も含んだ作品です。

レビュー

本作は、現代の階層社会人間の自然への干渉を描くSF映画です。

 

2013年に公開された本作ですが、地球をポスト氷河期に追いやった化学物質が投下されたのは、設定上2014年です。

 

つまり、本作で描かれるのは遠くない将来の姿、現代社会への警鐘であることがわかります。

階層社会

とても分かりやすいのですが、劇中のスノーピアサーという列車それ自体が階層社会を表しています。

 

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カーティス(クリス・エヴァンス)のいる最後尾、子供たちのいる学校のような車両、狂ったようにパーティーをする車両、そしてナムグン・ミンス(ソン・ガンホ)の拘束された刑務所のような車両。

 

現実の世界中に広がった貧富の差を一つの車両に凝縮することで明確に見えてくるのです。この止まらない列車という比喩はとても秀逸です。

 

車両の順序が変わることなく、富裕層を先頭にひたすら進み続ける列車は、私たちの世界そのものです。

 

列車内では貧富の差が顕著に見られます。最後尾は、先頭車両のメイソン(ティルダ・スウィントン)率いる武装した兵士たちにより厳しく統制されています。

 

反対に、富裕層はサウナやパーティー、ヘアサロンなどを優雅に満喫しているのです。

 

さらに、エンジンは先頭車両にあります。これはすなわち心臓部です。

 

メイソンは序列を重要視し、車両を身体に例え「先頭は頭で最後尾は靴」だと言います。

 

靴は頭の上にあってはならないと、差別的に最下層を引き離しコントロールします。

社会的地位と権力

富裕層が寿司などの高級品を食べる一方、最下層の人々はプロテインブロックを食べるのです。このような資源の不平等性は現代社会の縮図そのものですね。

 

物語は大企業の崩壊をも示唆しています。列車を支配するウィルフォードに向かっていく革命児カーティス

 

映画で描かれる主人公カーティスは、序列に逆らう存在として、「求められる」のです。これは、現実世界にも改革が必要だという願いです。

 

さらに列車ではいくつかの「革命」によって人口統制が行われます。富裕層に言わせればそれはバランスを取るための手段でしかないのですが、生命を軽んじる行為は戦争含め、様々な産業を巻き込んで現実社会に存在し続けています。

カーティス

カーティスについて考えてみると、彼は「革命」の象徴です。エンジンをコントロールすることができれば世界をコントロールできるというのは、革命の精神です。

 

勇気あるリーダーと思われる彼ですが、エドガーに関する暗い過去が明らかになります。そこで出てくる「犠牲」という言葉。

 

誰かを救うことは階層社会ではなかなか作用しません。それにはいつでも身を削る「犠牲」が伴うのです。

 

その痛みは誰もが避けるものですが、最終的にカーティスは自らの意思で「犠牲」を払うことになります。

 

ターニャ(オクタヴィア・スペンサー)の子どもティミーをエンジン室から助け出すために。そのすべての要素が意味を持ちます。

子どもたち

階層社会の中で子どもたちの担う役割はかなり大きいです。貧しい子どもたちが働いているのに対し、富裕層の子供たちは教育を受けるのです。そして劇中に出てくるティミーは、特に重要です。

 

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エンジン室で働くティミーは、働くことをやめられません。それは労働者としての子どもたちがその手を止めればエンジンが止まる、つまり階層社会の崩壊を意味します。

 

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エンジンはまるで永久の象徴のように思われますが、それは誰かの手によってのみ燃え続けるのです。

持続可能性の限界

昨今よく耳にする「サステナブル」という言葉。持続可能性です。それがこの映画ではよく描かれています。

 

まずCW-7という人間の作った化学物質が撒かれたことで、自然が破壊されます。これは持続可能な資源を、人間自らが破壊したことを意味します。

 

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そしてこれは現代人への警鐘でもあります。核兵器は「発展」の過程で作られました。それはつまり、発展という利便性を手に入れる一方で、その成功は崩壊へと向かっている可能性を示唆するものなのです。

自然の脅威

自然への干渉は大変危険なことです。人間の予測を遥かに超える自然という存在は、人間が支配することのできるものではないのです。

雪崩(ネタバレ)

最後、文字通りの雪崩が列車を襲います。序列の終わりです。これは人間が消えてなくなったとしても、そこに地球はあり続けるという無力さの表現でもあります。

 

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そして生き残ったヨナティミー。2人だけの世界は全くの無秩序です。それは一見すると絶望のようでもありますが、地球はそこにあり続けるのです。

 

それはつまり人間の終わりであろうとも、地球は元の姿を取り戻すという皮肉でもあるのです。

 

まず、雪崩というのは雪融けのサインですよね。つまり、人間によって狂ってしまった気候が暖かくなり戻っていく過程だということです。

 

さらに最後に白熊があらわれます。これは生命が生存可能であることを示しています。人間がそれに含まれるかは分かりませんが、希望的な最後です。

 

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階層社会、自然の脅威にフォーカスして解説してきました!いかがでしたか?ディテールが素晴らしい映画なので、あれこれ推測し、考えながら見てみてください☺️

 

最後までご覧いただきありがとうございます!

次回の記事もお楽しみに!