こんにちは!HanFilmです🌸
今回は『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』パート2のレビュー前半です。ネタバレも含みますので、ぜひ本編を見てからご覧ください☺️
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)
2023年3月10日にNetflixで配信がスタートした『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』パート2。厳密にはシーズンは分かれて表示されず、第9話〜16話がパート2です。
パート1の公開から話題をさらった本作。数々の謎をパート2に残し、公開が待たれていました。今回は、できるだけテーマごとにまとめながらレビューしていきたいと思います☺️
パート1のキャスト紹介+レビュー前半はこちら↓
パート1のキャスト紹介+レビュー後半はこちら↓
勧善懲悪
신이 널 도우면 형벌, 신이 날 도우면 천벌
「神があなたを助ければ刑罰、私を助ければ天罰」
この言葉からも分かるように、ドンウンは天罰を望んだわけですが、神がヨンジンを助けたことで刑罰が下ったと言います。
無宗教のドンウンですが、神の存在は否定しません。パク・ヨンジンはシャーマニズム、イ・サラはキリスト教、チェ・ヘジョンは仏教というように、それぞれの神を信じる登場人物たち。彼らの場合は信じるというよりも、縋り付く、利用するという表現の方が近い気もしますが。
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(引用: キム・ヒオラ インスタグラム)
父親が神父であるイ・サラ。薬物中毒者として強烈な印象を残す彼女は、キリスト教信者である自身は、悔い改めることで赦しを得ることができるという短絡的な思想を持っています。無限に贖罪を得ることができるという間違った解釈により、自滅していくのです。
ドンウンに’副業’を目撃されたため、ヨンジンの前でソヒが憑依したように振る舞った巫女。廃墟での会話を再現する姿に恐れ慄くヨンジン。その内容まで知らないドンウンがなぜ、そこまで把握することができたか?という疑問が残りますが、ソヒの魂が本当に憑依したという可能性を意図的に残したのかもしれません。
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(引用: イム・ジヨン公式インスタグラム)
私だって悔しい
억울하긴 나도 마찬가지야
ほらね神は私を助けない
이봐, 신은 날 돕지 않는다니까?
たかが刑罰?
고작 형벌?
仕方ないわ
그러니 어떡해
ここがあなたの地獄で
이 감옥이 너의 지옥이길
一生何も知らないまま
평생 넌 아무것도 모른 채
地獄で長生きするよう祈るしかない
이 지옥에서 오래오래 살아주길 계속 비는 수밖에
あの頃の彼女たちを救う方法。そんなものは存在しないのかもしれません。加害者がどんなに罰を受けても、過ぎ去った彼女たちの人生は戻ってはこないからです。
そんなドンウンの復讐は、何かを得るためのものではなく、刑罰であれ、天罰であれ、ヨンジンたちに制裁を与えることでした。復讐を、加害者の痛みを望む彼女の、私的で人間らしい憎しみは、ストレートに視聴者の心を捉えました。
人は、学校暴力の被害者であるという事実だけで、善人であると考えてしまいがちです。ドンウンやソヒを見るともちろん悪人ではない。しかし、決して無条件に善人であるわけでもありません。
ギョンランがミョンオにトドメを刺したことに関して、ドンウンが何もするなと制したのは、あくまでヨンジンへの復讐のためであり、法的な正義ではないことも、復讐劇の純度を高めています。
血縁
全編を通して描かれるのが、登場人物それぞれの家族関係です。
ドンウンと母
ドンウンと母の関係は破綻しています。母親であるチョン・ミヒは、一言で言えば最低の母親。娘の人生に一切の関心を持たないどころか、自らの利益のためなら娘にしがみつき利用し尽くす始末。当然、ドンウンの心身に傷をつけたのは学校暴力の加害者5人ですが、母もまた心を抉る加害者です。
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)
パート2で、肉親であることを盾にしてきた母親に対し、肉親にしか出来ないことによって縁を切ったドンウン。それさえも決して心が晴れる展開ではなく、最初から最後まで、ひたすらに不運としか言いようのない破滅的な関係でした。
ヨンジンと母
ヨンジンと母の関係もまた破綻しています。母親の異常なまでの信仰心に常に晒されたヨンジン。特にこの親にしてこの子あり、な展開だったパート2では、ヨンジンの殺人の証拠(結果的には証拠ではなかった)をあっさりとドンウンに渡す、母性のない人間としての姿が描かれます。
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(引用: Hunusエンターテイメント インスタグラム)
イェスル
ヨンジンとイェスルの親子関係、そしてイェスルの存在は、本作において非常に重要です。良妻賢母という夢を(表面的に)実現したヨンジンにとって、イェスルは夢そのものであり、絶対に守るべき対象なのです。そこには学校暴力の加害者としての矛盾がありますが。
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(引用: オ・ジユル インスタグラム)
そしてイェスルに対するドンウンの態度もまた注目すべき点です。ヨンジンへの復讐として最も容易なのは、イェスルに危害を加えることだったはずです。実際ヨンジンへの警告とでもいうように、ドンウンはイェスルの担任として赴任するのです。
しかし、ドンウンは決してイェスルに危害を加えることはしませんでした。パート2でそのことに言及したドヨンに対し「あなたも辛いのにイェスルは…」と言ったドンウンの言葉。ドンウンの使命は、加害者5人を地獄に墜とすことであり、それ以外の人に対して自分が「加害者」になることは望んではいません。
カン・ヒョンナムと娘ソナ
DVの被害者である2人。ドンウン、そしてヨンジンの親子関係とは違い、強い愛と絆で結ばれています。ヒョンナムにとってソナは人生唯一の希望の光です。
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(引用: AceFactory公式インスタグラム)
ドンウンが意図した出会いではなかったものの、それはドンウンに与えられなかった、愛のある親子関係でした。(夫・父からの)暴力に耐える彼女らの幸せを願い助けることは、暴力に晒された彼女の心情を投影しているようにも感じられました。
ヨジョンと母
こちらもドンウンと対照的に非常に良好な親子関係を保っています。本作に登場するのは大部分が人間性の捻れた人間なので、数少ない正常な登場人物です。
先輩
ソヒとドンウンの関係性から、ドンウンの意図的な接近に気づいていたヨジョンでしたが、それでもなお彼女の復讐の処刑人としてそばにいることを選びます。
個人的には、この作品の中で主演2人のロマンスがどのようなテンションで描かれるのか、売れっ子脚本家キム・ウンスク氏の手腕に大注目でした。彼女の代表作と言える『トッケビ』でのロマンスとは全く違うジャンルを超えた挑戦。結果としては大成功だったと言えるのではないでしょうか。
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)
復讐でつながる2人の関係の中で、ヨジョンのドンウンに対する思いは、望みや欲望を含まず、ただそこに優しく存在するという印象でした。
날 거절하면 사랑인 거죠 복수가 아니라
僕を拒んだら愛ってことだ 復讐でなく
근데 나 왜 떠났어요?
じゃあなぜ去ったんだ
복수가 아니라 사랑이었나 보죠
復讐じゃなくて愛だったみたい
緊張感のある全体の流れの中で、ドンウンとヨジョンの間にあった「愛」のようなもの。直接的な表現をほとんど用いなかった点が、むしろその存在感を強めたように思います。
後半に続きます!
後半はこちら↓