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【韓国ドラマ】『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(이상한 변호사 우영우)』(2022) レビュー(視聴後記)


こんにちは!HanFilmです🌸

 

今回は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』視聴記録です!前回のレビューはこちら↓

 

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(引用: パク・ウンビン公式インスタグラム)

 

 

先日、映画『無垢なる証人』を見ました。自閉症の女の子がとある事件の目撃者となり、裁判所で証言することになるという内容ですが、主人公の「自閉症だから弁護士にはなれない」という、世間の真実に痛みを覚えるセリフがあります。が、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』では、自閉症の主人公が弁護士として活躍するのです!

 

なんだか韓ドラマルチバースを感じた瞬間でした(笑)どちらもフィクションですが、それでも胸熱な繋がりですよね。

 

そして『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、前回の記事ではレビューし足りなすぎた...ということで、全員が大切な役割を持った人物なので、詳しくレビューしていきます!

ウ・ヨンウ

自閉症を持つ主人公ウ・ヨンウ自閉症スペクトラムにまとめられる中には、アスペルガー症候群、知的障害などが含まれますが、それに加え、ヨンウの場合はサヴァン症候群による高度な記憶力を持っているようです。

 

 
 
 
 
 
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)

 

サヴァン症候群といえば、映画『レインマン』ダスティン・ホフマン演じるレイモンドが、床に散らばった爪楊枝の本数を瞬時に当てるというシーンが有名です。本作の劇中にも、ヨンウがネクタイやハンカチのドットの数を瞬時に当てる場面が登場するため、サヴァン症候群である可能性が高いと考えられます。

 

そんな彼女の働く「ハンバダ法律事務所」に舞い込む数々の事件。事件そのものも興味深い内容が多く楽しめると同時に、人々のヨンウとの付き合い方が計算し尽くされているのもポイントです!

チェ・スヨン

ヨンウの同僚弁護士を演じたのは、大人気ドラマ『賢い医師生活』で神経外科レジデントのホ・ソンビンを演じたハ・ユンギョン

 

 
 
 
 
 
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(引用: ENAチャンネル インスタグラム)

 

ヨンウにとって「春の日の日差し」のような存在のスヨンは、正義感が強く、周りに流されるタイプではありません。ヨンウの言動に振り回されながらも、素直に向き合ってくれる大切な存在として描かれます。

イ・ジュノ

「ハンバダ法律事務所」の訟務チームに勤務するイ・ジュノを演じるのは、5urpriseという俳優グループでソ・ガンジュンコンミョンらと活動もした俳優カン・テオです。助演として様々な作品に参加していましたが、今回ついに主演級!そして間違いなく本作が出世作となりました。近々入隊予定となっているため、除隊後の復帰作が注目されますね。

 

 
 
 
 
 
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(引用: ENAチャンネル インスタグラム)

そして彼の演じるイ・ジュノ。とにかく優しい。だからこそ起こる葛藤の数々。イ・ジュノの学生時代の友人たちや家族からの言動には、ヨンウが障がい者として扱われる世間の反応が反映されています。障がい恋愛という難しいテーマの融合により、結末がどう描かれるのか注目されました。

クォン・ミヌ

スヨンと同じくヨンウの同僚でありながら、彼女とは反対に塩対応のミヌ。しかしヨンウが善、ミヌが悪とも言い切れないのが鍵です。

 

 
 
 
 
 
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(引用: ENAチャンネル インスタグラム)

 

自分と違う世界を見て自分と違う時間の流れに生きる人間に歩調を合わせることは、想像以上に難しいことです。「障がい者を取り巻く優しい世界」を描くわけではない本作。クォン・ミヌヨンウへの対応は酷いですが、ある意味その冷たさが世間の「本音」であるとも言えます。そしてそんな彼も、スヨンジュノグラミとは違ったアプローチでヨンウと向き合っていく、ある意味キーパーソンと言える存在です。

チョン・ミョンソク

最初はヨンウの雇用に反対だった弁護士ミョウソクスヨンほどヨンウに寄り添うわけではないのですが、徐々にヨンウを受け入れ、呆れながらも同僚として上手くコミュニケーションを取れるようになっていきます。

 

 
 
 
 
 
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(引用: ENAチャンネル インスタグラム)

ドン・グラミ

ウ・ヨンウとの挨拶がバズったことでもお馴染みのヨンウの友人グラミ。彼女の直感的な言動は、一見安易ですが良き友人の姿でもあります。気遣いのある大人な対応のスヨンとは違い、良くも悪くも猪突猛進グラミは、実は一番ヨンウの存在を丸ごと受け入れている人物なのかもしれません。

 

 
 
 
 
 
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)

 

ドラマの至る所に散りばめられた大切な言葉の数々。理解してほしい自閉症の世界と共に、自閉症と向き合う世界のもどかしさも描かれます。ただ「理解しましょう」ではなく、リアルな社会の反応も入れつつ、視聴者の心を動かすシーンの連続です。

 

ここからは特に心が動いたシーンを紹介します。

自閉症と自閉症

第3話で「被告が自閉症だから、ウ弁護士の方が健常者の自分より彼を理解できるだろう」と言うミョンソクに対し、「自閉症の特徴はクジラのように千差万別だ」と言うヨンウ

 

一見すると筋が通っているようにも思えるミョンソクの発言ですが、「人間だから人間のことはよくわかるだろう」と言うくらい主語の大きな話なのです。自閉症という分かりやすい言葉で一括りにされがちですが、当事者だからといってまた違う当事者を理解することができるほど単純なものではないということです。

 

 
 
 
 
 
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)

そして、自閉症の被告の起こしたとされる事件の記事へのコメントを見るヨンウ。自閉症を大目に見るな、などの言葉に傷つきます。酷い言葉ばかりですが、実際にそうした記事に付くコメントはさらに刺々しい暴言の掃き溜めです。

 

そうしたコメントを支持する人の数が自閉症の重さだと言うヨンウ。本作では、いじめのシーンや、こうした悪質コメントのシーン、そしてイ・ジュノの友人のシーンなどを通して、自閉症を取り巻く世界がリアルに描かれます。

マイクロアグレッション

イ・ジュノの友人がヨンウと一緒にいるジュノを見かけ声をかけるシーンでは、友人はジュノボランティア活動をしているのだと勘違いします。ヨンウを初めから見守ってきた視聴者からすると失礼な人だという印象を抱くシーンですが、実際にはこうした勘違いは日常茶飯事と言えるでしょう。

 

自閉症の人と一緒にいる理由として一番に思いつくのがボランティア活動というのは、障がい者はケアしてあげる対象であるという”常識”による判断でしょう。実際、ジュノの友人には全く悪意は感じられませんでした。また、その後飲み会でジュノヨンウとの交際を止められるシーンも、予想できる展開ですが、見方によると攻撃的にも見えました。

 

 
 
 
 
 
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(引用: パク・ウンビン公式インスタグラム)

 

マイクロアグレッション(Microaggression)という言葉が近年よく使用されますが、これは、いじめシーンのように明らかな敵意を持って行動するのではなく、イ・ジュノの友人のように悪意なく相手を傷つける行為を指します。

 

ヨンウという主人公を通して描かれる自閉症という特性との付き合い方には、正しい付き合い方など明確なものは存在しません。それはそれぞれが個性を持っているからです。本作では、そうしたいわゆる”正解”のようなものを提示しようとするのではなく、個性的なキャラクターたちを通して、多様な付き合い方を描いています。自分がどの登場人物のように生きていきたいか、そのエッセンスを探しながら視聴するのも有意義でしょう。

サイダーな瞬間

ヨンウがひらめく瞬間、風が吹き抜け髪の毛がなびきます。そして、クジラやイルカの壮大な映像が流れ...(笑)とにかく知識とひらめきでヨンウが活躍していく。フィクションなのは重々承知で、ストレスが解放される瞬間が盛り込まれています🐋

 

 
 
 
 
 
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自分の世界について

第5話での車内での会話。自閉症の人が騙されてしまうのは純粋だからですか?とのジュノの問いに、ヨンウはこう答えます。

 

「”他者と自分がいる世界”ではなく、”自分だけの世界”に慣れているからです」

 

他者との世界に住む健常者の常識では、他者のいない世界を想像することは簡単ではありません。しかし、そうした概念の存在を認めるだけでも、俗に言う”空気の読めない”行動などが、「理解できないもの」から一つの「特性」として捉えることができるようになるかもしれません。

 

 
 
 
 
 
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自閉症は弱者ではなく強者?

第7話でのスヨンミヌの口論の場面。ヨンウがコネの不正入社だと主張するミヌは、「ヨンウのような弱者ではなく、社長の不正から暴けばいい」と言うスヨンに対し、こう反論します。

 

「ウ・ヨンウは弱者ではなく強者だ」

 

自閉症の人相手には何も反論することができないと憤るミヌ社会的弱者という事実を前にすると、配慮しなければいけないという常識が立ち塞がり、彼らを非難することは許されないというわけです。

 

 
 
 
 
 
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主張が正しいか否かに関わらず、クォン・ミヌのような考えを持つ人は一定数いるはずです。それを口にしてしまうことが社会的には許されないと分かっていても、心のどこかにモヤモヤを抱える人もいるわけで、彼はそんな居心地の悪い本音の代弁者となっています。

挫折について

子離れという言葉があるほど、親の子供の人生への干渉は度々問題になります。それは特に他者の助けを必要とする障がい者の家族にはさらに難しく敏感な問題でもあります。

 

「挫折するなら私一人でちゃんと挫折したいです、大人なので」

 

不正入社に関わっているのではないかと父親を問い詰めたヨンウ。否定しない父に対してこう言います。挫折は誰もが避けたいことですが、ヨンウはしっかりと、それを避けるのではなく、経験するべきだという自立した精神を持っているのです。

 

 
 
 
 
 
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(引用: ENAチャンネル インスタグラム)

 

このシーンでハッとしたのですが、「自閉症である」ヨンウという形容詞を前提に視聴していた自分に気づいてしまったからです。人として成熟したヨンウの姿を見て、より一層ヨンウというキャラクターを好きになりました。

 

 
 
 
 
 
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最終話でテ・スミに対して、自身の人生は、人と違っていておかしいけれど価値があって美しいと宣言するヨンウの姿は、自閉症という特性があるか否かではなく、純粋に人として印象的な場面でした🥺

回転ドアの先に

本作を語る上で外すことのできない回転ドア。初出勤の時、リズムに乗れず通り抜けられなかったヨンウ。最終話では、くるくると回り続ける回転ドアに勇気を持って足を踏み出し、ジュノの教えてくれたリズムで無事通過することができます。そしてその先にはジュノがいる...!

 

 
 
 
 
 
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回転ドアとの付き合い方を、ともに悩み考えてくれるジュノの存在は貴重です。スヨングラミともこのドアを通るシーンがあるのですが、それぞれの反応や対処が違っているので注目してみると面白いです😉ヨンウが仕事に行くには避けて通れない道である回転ドア。その通り方から、彼らの社会との向き合い方も見えてきます。

感想

知名度のないENAというチャンネルでの放送でありながら、視聴者の支持を得てきた本作ですが、後半に入って(11話の結末など…)少し雲行きの怪しいというか、後味の悪い展開が気になり始めました。

 

が、兎にも角にも良い終わり方だったのではないかと思います!主演のパク・ウンビンの、高い演技力が証明された優しいドラマでした😌海を自由に泳ぐ雄大なクジラを多様性というテーマのモチーフとして使用したのがピッタリだと思いましたし、ウ・ヨンウブームによってしばらくクジラ柄キンパが人気になるのではないかと思います😂

 

 
 
 
 
 
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(引用: NetflixKorea公式インスタグラム)

 

今年のおすすめドラマとして間違いなく一二を争う作品となった『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』。しばらくはロスを引きずりそうです…。当事者が近くにいなければ想像することも簡単ではない障がいとの付き合い方、多様性の在り方を考えるきっかけになる良い作品でした。皆さんは誰のように生きたいと思いましたか?日常でふとヨンウたちを思い出すことで、少しずつ生きやすい世の中になることを願います。

 

 
 
 
 
 
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最後までご覧いただきありがとうございました!次の記事もお楽しみに!

 

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