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【韓国ドラマ】『シスターズ(작은 아씨들)』ネタバレあり考察2/2

『シスターズ(작은 아씨들)』ネタバレあり考察後半です!

 

考察前半はこちら↓

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『シスターズ(작은 아씨들)』ネタバレなしレビューはこちら↓

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チェ・ドイルの過去

ミステリアスな人物だったチェ・ドイルドイルは過去に車の墜落事故に遭っており、その際に同乗の女性のみが死亡したことになっていたことから殺人疑惑が浮上します。それを知ったインジュに問いただされ、計画上必要な演出だったと釈明するドイルウォン・ギソン奨学財団の支援でアメリカ留学した過去、そして彼の母親が服役することになった事件で、再開発を進めたのはウォルリョン建設だったことも明らかになり、ドイルへの疑惑は深まっていきました。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

チン・ファヨンの過去

母と娘

インギョンは法廷で見たファヨンの顔に見覚えがありました。記憶を辿るとそれは、ポベ貯蓄銀行事件被害者の会でした。ファヨンの母もポベ貯蓄銀行事件の被害者であり、ファヨンは亡くなった母の復讐のために人生を懸けてきたのでした。

偽造された死

ファヨンは、インターネットを通じて会った自○志願者の女性と体型などを徹底的に似せ、同じ位置にタトゥーを入れたことで自分の死を捏造することに成功していました。

 

死の間際に整形手術を受けたという伏線がずっと引っかかっていましたが、顔に包帯を巻くことで手をかけたサンアさえも欺くことができたのでしょう。

 

その後シンガポールでオ・インジュとして過ごしていたファヨンは、インジュが世界ラン大会に出席することを新聞記事で知ることになりました。サンアの策略に巻き込まれていると勘づいたファヨンは、インジュを救うために動きます。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

事故の真相

シンガポールでインジュの巻き込まれた交通事故。その際にインジュが致命傷を免れたのは、間に割って入った白い車のおかげでした。この車はファヨン生存説がより現実的になった伏線でもありました。病院で姿を現したファヨン。このシーンもインジュの想像の世界なのか現実なのか、意図的に曖昧にされていたシーンでした。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

 

ここで注目すべきものがありました。それは、スニーカーです。物語の序盤でファヨンインジュブルーノ・ズミノのハイヒールを交換したその靴が、シンガポールでインジュが搬送された病院に置かれていました。この場合の可能性は2つあり、一つはサンアが全てを知っていて同じ靴を用意したパターン。そしてもう一つが、ファヨン生存説でした。

 

第11話でファヨン生きていたことが明らかになり、世界ラン大会の時、ロビーで同席していた外国人が「あなたと同じ顔の人を見た」と言ったことが引っかかっていたのですが、これはサンアが仕込んだ俳優の嘘のセリフだったことで説明がつきます。

サンアの過去

サンアがまだ子供だった頃、将軍の悪行を暴露しようとしたことによって「閉ざされた部屋」に閉じ込められていたサンアの母親。その部屋をこっそり訪ねたサンアは、誤って母親を殺してしまいました。

 

机に頭をぶつけてしまった母親は、サンアにすぐに部屋から去るように告げ、翌日サンアが様子を見に戻ると母親は洋服箪笥の中で自○を装い息絶えていました。

 

その時から自分をその瞬間に縛りつけ生きてきたサンア。舞台美術科を卒業した彼女らしく、パク・ジェサンをはじめ多くの人々を「キャスティング」し、自身も演者となり舞台を作り上げていきました。「閉ざされた部屋」での殺人を再現し続けた彼女は、そうして狂っていったのでした。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

ドイルとジョンホ

常に話題の中心だったのがこの2人。ミステリアスなドイルと純粋そうなジョンホ。頼むからドイルインジュの味方でいてほしいという全視聴者の願いは見事に叶い、チェドイルロスに陥る視聴者が続出しました。

 

そして、殺人現場にあった青い蘭をドライフラワーにするという狂気でファンをざわつかせたジョンホ😂父親と祖父の存在と財力、そしてアメリカへの留学経験などから、後半にかけて黒幕サイドではないかとの疑惑が強まっていきました。

 

個人的には、本当に最後の最後までこの二人を信じさせないミスリードが大きな見所でした。

伏線

挙げ出したらキリがないほど様々な物語や小道具が伏線として使用された本作。その中からいくつか取り上げてみます。

モンテ・クリスト伯

第3話でウォン・サンウの読んでいた本「モンテ・クリスト伯」。さらっとですが、サンウがその中のエドモン・ダンテスに言及したシーンがありました。無実の罪で投獄されたダンテスが脱出するストーリーである物語であり、さりげなくサンウダンテスと重なることが示唆されています。

 

聖ベネディクト精神病院にインギョンが潜入した際に、サンウが送ったメールの差出人がダンテスとなっており、伏線が回収されました。

秘密の温室

青い蘭の自生する場所である秘密の温室。青い蘭は単純に殺人の印として現場ごとに置かれていたのではなく、蘭の木に刺さっている状態=ウォン・サンアの演者である状態から、用済みとみなされ、抜かれていく様を表しているようでした。

 

 
 
 
 
 
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(引用: オム・ジウォン公式インスタグラム)

リップグロス

物語の初めに20億を手にしたインジュが、買ったリップグロスインギョンにあげるシーンがありました。そして最終局面。刑務所で対面したサンアが、これみよがしに同じリップグロスを出すことで、インジュに向けて「インギョンの身柄はこちらにある」のだとアピールしました。こんなに細かいところまで伏線が張られていたことには驚きですね。

目線

物語で何度か出てきた映像的な演出が、画面を90度回転させることで画面上の人物の関係性を表現するシーンでした。

 

例えばシンガポールで意識を失いかけるインジュとそれを見守るドイルの会話シーンでは、膝枕をするドイルが上になるわけですが、画面を回転させることで2人の目線を同じ高さに持ってきました。

 

また、ジェサンサンアの「5分」のシーンでは、一見対等に見えながらも、サンア上になる構図にすることで一種の主従関係、2人の歪んだ関係性が表現されていました。

残された謎

チェ・ヒジェとアン・ソヨンは?

チェ・ドイルの両親ですが、父親のチェ・ヒジェは逮捕後、母親のアン・ソヨンドイルと共に遭った交通事故後、登場せずに終わりました。結末には直接関係しませんが、気になるフェードアウトでした。

インギョンの制服ショットは?

最終回前にインギョン役のナム・ジヒョンがインスタグラムに載せた制服姿インギョンの写真。回想シーンがあるのかと思いきやそんなこともなく終わりました。これは、大おばとの写真が出てきたシーンがありましたが、その撮影時の写真ではないかと思われます。

 

 
 
 
 
 
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(引用: ナム・ジヒョン公式インスタグラム)

母親

母親との関係性が強く描かれた本作。反対に父親との関係性は(ドイルと父、サンアと将軍以外)ほとんど描かれることがありませんでした。娘を復讐の道へと導いたファヨンと母の強い絆。母親に振り回された3姉妹。そして母親との関係に苦しみ続けるサンアヒョリン。それぞれ違った関係性がありました。

マクチャン

前半からリアルな現実からは逸脱した設定が多かったものの、後半にかけてファンタジー要素が強まるにつれ、完全に物語として楽しむようになりました。後半はほぼマクチャン(ありえない設定の)ドラマでした(笑)仕掛けのダイナミックさは、演出家キム・ヒウォン氏の前作『ヴィンチェンツォ』に通じるものを感じました。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

 

「金」についてのストーリーということから、現実的な描写を予想していましたが、むしろ推理小説のような創造物として楽しむことができたので、特に現実と乖離していることが視聴の妨げになるとは感じませんでした。また、登場人物や伏線が多く、関係性の把握や伏線回収についていくのが大変だった方も多かったのではないでしょうか。

 

台詞回しだけでなく美術やカメラワークにも強いこだわりが感じられ、画面に食らいついて見るタイプの作品でした。ただでさえ外国語の作品は「ながら見」ができないものですが、本作は特に集中力が必要だと感じました(笑)

 

 
 
 
 
 
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(引用: Netflixコリア公式インスタグラム)

 

考察好きには刺さるものの、万人受けするわけではなく、非常に好き嫌いの分かれると思われる作品でした。

700億の行方

個人的には、700億ウォンを皆で分け合う結末には疑問が残りました。イネの判断で、インジュに300億ウォン、インギョン、ドイル、ヒョリン、そして自分(イネ)に100億ウォンずつ分配しました。

 

まず最初にインジュが発見したファヨンのバックパックに詰められていたのが20億ウォン。その後その20億ウォンはコ室長によって回収されてしまいます。

 

しかしその後、ファヨンが開設したシンガポールの口座、それもインジュ名義の口座の存在が明らかになり、インジュは突如700億ウォンを手にします。その700億ウォンを巡って騒動が巻き起こるわけですが、700億ウォンは元々オーキッド建設の裏金でした。

 

それを最終的に身内で分け合ってハッピーエンドという結末には正直腑に落ちない部分がありました。ウォルリョン産業の負の遺産とも言うべきその裏金によって何人が命を落としたかと考えると、それを懐に入れるというのは三姉妹、特に次女のインギョンの正義感を考えると違和感の残る選択でした。

 

「金」についての話であることは理解していたつもりでしたが、結局大金を手にした三姉妹がそのお金でそれぞれの望む人生を手に入れハッピーエンドという「結局世の中カネ」な結末には首を傾げざるを得ませんでした。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

 

ディテールまで非常にこだわった作品だったので、単に私が監督たちの意図を汲み取れきれなかっただけかもしれません。

ヒョリンのメンタル

そして本作を見終わって一番心配だったのがヒョリンのメンタルです(笑)両親の悪事を薄々知っていたとはいえ、両親と祖父を同時期に亡くしたヒョリンイネと共に旅に出て幸せに過ごしているエンディングでしたが、精神状態が心配になりました。

 

視聴直後は後半の怒涛の展開に頭が追いつかず、ただハッピーエンドで良かったとも思えましたが、しばらく整理してみると良い部分も悪い部分も見えてきました。

 

それでも作品全体としては、展開の仕方やスケール感など、エンターテイメントとしてとても楽しめるドラマになっていたことは確かです。今後監督のインタビューや解説があれば、納得できる箇所も出てくるかもしれませんが、とりあえず現時点での私の感想を書き連ねてみました。

 

 
 
 
 
 
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(引用: tvNドラマ公式インスタグラム)

 

分析するなら登場人物ごとに全員ポイントはありますが、主要なところだけ展開をまとめてみました。しっかりと理解するにはもう一周すべきかもしれません(笑)

 

長くなりましたが最後までご覧いただきありがとうございました!次の記事もお楽しみに!

 

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