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【韓国ドラマ】『ミセン〜未生〜(미생)』(2014) 第20局レビュー

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こんにちは!HanFilmです🌸

今回はドラマ、

 

『ミセン-未生-』

(原題: 미생)

 

第20局レビューです!

 

 

第19局はこちら↓

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最終局あらすじ

チャン・グレの契約期間満了を前に、同期たちは皆、必死に会社の空気を変えようと動きます。

 

皆の協力のおかげで正社員になれる可能性が生まれたグレ

 

その頃、オ次長はチキン屋の配達のバイトをしていました。ソン次長からグレが残ることができそうだと聞きます。

 

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そして審査の日。いつしか周囲から頼られるチームの一員となっていたグレでしたが、審査を通過することはできませんでした。

 

入社してから、未知の世界に必死にしがみついてきた日々を思うグレ

 

オ次長はじめ大切なチームとの思い出が、去ることを難しくします。

 

オ次長キム部長の会社に転職したのでした。

 

相変わらず続くソン代理の嫌がらせにストレスを募らせるソンユル

 

あの夜、ソン代理のスキャンダルを目撃していたソンユルは、写真を添付し密告しようとしますが、私生活の問題だと引き下がります。

 

カメオ出演 

オ・ジョンセ(오정세)
 
 
 
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(引用: コン・ヒョジン公式インスタグラム/写真右)

 

1977年2月26日生まれ。

 

所属事務所(2021年現在)

プレインTPC

 

出演作品

ドラマ

『会いたい』、『未来の選択』、『恋愛を期待して』、『ビューティフル・マインド』、『ヴァンパイア探偵』、『操作〜隠された真実〜』、『ミッシングナイン』、『ミストレス』、『真心が届く』、『ストーブリーグ』、『椿の花咲く頃』、『模範刑事』、『サイコだけど大丈夫』他。

映画

『くだらないロマンス』、『カップルズ 恋のから騒ぎ』、『ハナ 奇跡の46日間』、『タチャ 神の手』、『レッドカーペット』、『探偵なふたり』、『操作された都市』、『エクストリーム・ジョブ』、『スウィング・キッズ』、『ザ・コール』他。

 

スキャンダル相手の夫(オ・ジョンセ)が会社に乗り込んできて乱闘になります。

 

退職後久しぶりに同期で集まった帰り、オ次長グレの家に訪ねてきます。

 

牛乳が発酵した

우유 다 익었다

 

スーツもワイシャツもネクタイもある

양복도 있고 와이셔츠도 있고 넥타이도 있고

 

カバンも靴もある

가방도 구두도 있고

 

すぐ出社できる

언제든 나올 수 있겠네

 

腐った牛乳の件は第8局を参照ください(笑)

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新たにインターンが来た営業3課ですが、オ次長グレの抜けた穴はぽっかりと大きなものでした。

 

結局、キム代理も転職してきて、キム部長の元で以前の営業3課が集結します。

 

そこで、事業に関わるソ・ジンサンの起こしたトラブルのせいで、因縁のヨルダンへの渡航が決まったグレ

 

第1局の最初のシーンに繋がるわけです。

 

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オ次長もヨルダンに来ていました。砂漠で熱唱するオ次長(笑)

 

黄色い森の中で道が2つに分かれていた

The roads diverged in a yellow wood,

 

両方は進めない

And sorry I could not travel both

 

長い間たたずみ一方の道を見やった

And looked down one as far as I could

 

道の先はやぶの中だ

To where it bent in the undergrowth;

 

そこでもう一方を選んだ

Then took the other, as just as fair,

 

こっちの道がいい

And having perhaps the better claim,

 

草が生い茂り踏み鳴らしてほしそうだ

Because it was grassy and wanted wear;

 

実際は同じだろうけど

Though as for that the passing there

Had worn them really about the same

 

あの朝どちらの道にも足跡がなかった

And both that morning equally lay

In leaves no step had trodden black.

 

最初の道は別の機会に歩こう

Oh, I kept the first for another day!

 

道は先へと続くので戻っては来ないと思うが

Yet knowing how way leads on to way,

I doubted if I should ever come back.

 

のちにため息とともにこの話をするだろう

I shall be telling this with a sigh

Somewhere ages and ages hence:

 

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ヨルダンでオ次長の元に向かうグレの背景で語られる詩は、アメリカの詩人ロバート・フロスト『The road not taken』という詩です。

 

森の中に分かれ道がある

숲속에 두갈래 길이 있어

 

人が歩いていない道を選んだ

나는 사람이 덜 다닌 길을 택했습니다

 

それが俺の人生をこんなふうに変えた

그리고 그것이 내 인생을 이처럼 바꾸어 놓은 것입니다.

 

インディ・ジョーンズのように世界を駆けめぐるのが夢だったと、そしてそれを長い間忘れていたと言うオ次長

 

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忘れたからといって夢が夢じゃなくなるわけじゃない

꿈을 잊었다고 꿈이 꿈이 아니게 되는 건 아니라는 거.

 

見えないからといって道じゃないわけじゃない

길이 보이지 않는다고 길이 아닌 건 아니라는 거.

 

希望は本来あるともないとも言えない

희망은 본래 있다고도 할 수 없고, 없다고도 할 수 없다.

 

まるで地上の道のようだ

그래서 마치 땅 위에 난 길과 같다.

 

地上には元々道がなかった

세상에는 원래 길이 없었다.

 

行き交う人が増えると道ができるのだ

가는 사람이 많아지면 길이 되는 것이다.

 

—魯迅

 

ここぞとばかりの海外ロケ(笑) 一見これがミセンだとは思わない、別作品のようなアクションの連続(笑)

 

問題は解決し、帰りの車で、自分を売り込んでくださいと、初めて会った時のようにオ次長に逆に質問するグレ

 

道というのは歩くのではなく前に進むためにある

길이란 걷는 것이 아니라 걸으면서 나아가기 위한 것이다.

 

前に進めない道は道ではない

나아가지 못하는 길은 길이 아니다.

 

道は皆に開かれているが、皆が持てるわけではない

모두가 그 길을 가질 수 있는 것은 아니다.

 

再び道だ

다시 길이다.

 

そして一人ではない

그리고 혼자가 아니다.

 

グレの父が死んだ日、実は部下の葬式に駆けつけたオ次長とすれ違っていた!というラストでした。(え、最後これいるのか…な?と思ってしまった)

 

脚色が多くいかにも最終回!な今回。個人的にはもう少し地味に静かに終わってほしかったです。

 

名言もとても良いですが盛り込みすぎかなと(笑)

 

ただ、全体を通してはやはり人生ドラマ。その辛辣なリアル人の繋がりに共感しました。

 

当たり前にスペックで審査され、会社の規定に従って生きる現代人に向けた、「ミセン(弱い石)」という言葉の意味。

 

それをひたすら考えさせられる作品でした。

総合商社という縦社会

社会の縮図のようなワンインターナショナルという会社で、様々な部署の様々な人々と働いたグレ

 

そこで働き続けることができなかったという展開は、ある意味で『ミセン』というドラマを体現するものでもあります。

 

日本以上に熾烈な学歴社会である韓国のリアルが詰まったドラマ。

 

また、総合商社という舞台は日本人にはかなり馴染み深いものであり、程度の差はあれど、上下関係の厳しい縦社会です。

 

その中で生まれる絶妙なストレス悪事、そしてそれを容認する圧力忖度など、その空気感の再現度は、韓国でこのドラマが評価された大きな要因と言えるでしょう。

 

様々な登場人物を通して描かれる社会生活は、協力し切磋琢磨していく「つながり」を感じさせるものでした。

 

将棋の世界で「独り」で生きてきたグレが、「つながり」の中で生きていく、応援したくなる物語でした。

 

しかし、そこで這い上がっていくことをゴールにしなかったのがとても好印象でした。

 

場所は人が作り、そこに固執する必要はないこと。

 

人と繋がり、人と分かれ生きていくグレの人生は、視聴者の大きな力になったことでしょう。

 

韓国ドラマには必ずと言っていいほど登場する恋愛要素を排除したことも、本作の特徴的な点ですね。

 

おかげで主軸がブレずに真っ直ぐ完走できました。

 

愛すべきグレと同期たち、チームの絆、イヤミな上司、難しい課同士の連携や対立などなど。

 

それぞれの人物の悩む姿に、一緒になって一喜一憂する、そんなドラマでした。

 

魯迅の短編小説『故郷』の最後の有名な部分の引用が、グレの、そしてオ次長はじめ彼の周囲の人々の歩みと重なり、味わい深かったです。

 

名言とともに振り返るドラマ『ミセン』、いかがでしたか?

 

次の記事もお楽しみに!