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【韓国ドラマ】『ライブ〜君こそが生きる理由〜(라이브)』(2018) ネタバレありレビュー

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こんにちは!HanFilmです🌸

 

聞いてください。日本版のタイトルとポスター。キラキラでピンク。そして「恋」というキーワードの入ったサブタイトル。そろそろしんどいです…。

 

韓国版のポスターが公開になるたび、「ああ、センス良いなあ」と思うと同時に、「これ、日本に来たらどうなるだろう」と嘆いています。

 

そして、そんなデザインのせいで見落としていた数々のドラマたち…。その中の一つがこちら、

 

『ライブ~君こそが生きる理由~』(原題:라이브)

 

 

いやもうまずサブタイトル。恋愛ドラマ感バリバリ出していますが、正直言ってこのドラマ、恋愛なんておまけ程度です。

 

そしてポスター。主人公と先輩に挟まれるヒロイン、という構図。確かにそういう駆け引きは出てきますが、メインではないのです。内容が伝わらない…。

 

元の韓国版ポスターがこちら。何パターンかありますが、どれも恋愛もの感無しです。

 

 
 
 
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(引用:チョン・ユミ公式インスタグラム)

 

 
 
 
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(引用:イ・グァンス公式インスタグラム)

 

本当に深くて素敵なドラマなので、しっかり解説していきます!

 

基本情報

韓国放送 2018年3月10日~5月6日

ジャンル ドラマ、クライム

企画   スタジオドラゴン

制作会社 GT:st

チャンネル tvN 

 

あらすじ

就活になかなか成功しないハン・ジョンオ(チョン・ユミ)と、マルチ商法に引っかかって職を失ったヨム・サンス。それぞれの理由で警察を目指し、警察学校を同期で卒業する。韓国一忙しいと言われる、ホンイル分署で奮闘する彼らは、韓国社会の厳しい現実を目の当たりにするのだった―。

キャスト

ハン・ジョンオ役 チョン・ユミ(정유미)  
 
 
 
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(引用:チョン・ユミ公式インスタグラム/写真右)

 

1983年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『ロマンスが必要』、『恋愛の発見』、『保健室のアン・ウニョン先生他。

映画

『愛する少女』、『トガニ 幼き瞳の告発』、『新感染 ファイナル・エクスプレス』、『82年生まれ キム・ジヨン他。

 

ヨム・サンス役 イ・グァンス(이광수)
 
 
 
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(引用:イ・グァンス公式インスタグラム)

 

1985年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『トンイ』、『シティーハンターin Seoul』、『優しい男』、『大丈夫、愛だ』、『アントラージュ』、『花郎』他。

映画

『平壌城』、『ワンダフルラジオ』、『コンフェッション 友の告白』、『フィッシュマンの涙』、『探偵なふたりリターンズ』他。

 

芸人と俳優の中間というイメージの俳優さんですが、バラエティ『ランニングマン』『犯人はお前だ』などに出演し、タレントとしても活躍し、親しみやすい印象です。

 

オ・ヤンチョン役 ぺ・ソンウ(배성우) 

 
 
 
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(引用:イ・グァンス公式インスタグラム/写真左上)

 

1972年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『セジョン大王』、『トンイ』、『幽霊が見える刑事チョヨン』他。

映画

『殺人の告白』、『パパロッティ』、『モンスター』、『私の愛、私の花嫁』、『ベテラン』、『ビューティー・インサイド』、『私を忘れないで』、『ザ・キング』、『変身』、『ボストン1947』他。

 

今まで歴史ものに出ることが多かった俳優さんですが、個人的には、本作はかなりのハマり役だったのではと思います。

 

アン・ジャンミ役 ペ・ジョンオク(배종옥)  
 
 
 
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(引用:ペ・ジョンオク インスタグラム)

 

1964年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『鉄の王キム・スロ』、『かぼちゃの花の純情』、『その冬、風が吹く』、『スパイ~愛を守るもの~』、『風船ガム』、『サバイバー 60日間の大統領他。

映画

『チルスとマンス』、『奇跡の夏』、『世界で一番美しい別れ』、『潔白』他。

 

本作では、母親役としても、頼れる先輩役としても、説得力のある落ち着きが頼もしいキャラクターです。

 

キ・ハンソル役 ソン・ドンイル(성동일) 

 
 
 
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(引用:イ・グァンス公式インスタグラム/写真上段左から4番目)

 

1964年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『パリの恋人』、『美しき日々』、『チュノ』、『僕の彼女は九尾狐』、『応答せよ1997』、『応答せよ1994』、『応答せよ1988』、『大丈夫、愛だ』、『青い海の伝説』、『花郎』、『ハンムラビ法廷』、『刑務所のルールブック』他。

映画

『探偵なふたり』、『ミッドナイト・ランナー』、『怪しい彼女』、『カンナさん大成功です』他。

 

とにかくイメージはドラマ『応答せよ』シリーズのお父さんですね!コミカルな演技が目立つ俳優さんですが、奥にはしっかり真剣さもあります。

 

チェ・ミョンホ役 シン・ドンウク(신동욱)  
 
 
 
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(引用:SnowBall Entertainmentインスタグラム)

 

1982年生まれ。

 

出演作品

ドラマ

『ごめん、愛してる』、『悲しみよ、さようなら』、『雲の階段』、『浪漫ドクター キム・サブ2』他。

映画

『イエローヘアー2』他。

 

恋敵役というよりも、常に冷静な先輩役と言える役回りです。

 

始まりの始まり

主人公2人はそれぞれの事情で警察学校に入学し、必死の思いで卒業します。大体の警察関連のドラマや映画では、過去の経験などから復讐や使命に燃えているパターンが多いですが、本作ではなんとも現実的な人生を送る2人。「生きるために」警察になることを選択します。

マニュアルと権力

スタンガンの使用、警察としての振る舞いなど、とにかくマニュアルが重視される世界。目の前の犯人だけでなく、その後の処分考えて行動しなければならないという不条理さに満ちています。

トラウマ

ジョンオの過去はかなり衝撃でした。学生時代、性的暴行の被害から中絶したというジョンオ

 

アン・ジャンミとの会話で、ジョンオ「私は平気なんです。その日を忘れたわけではないけれど、男性が怖いとかそういうこともないし、トラウマがないんです。」と言います。

 

ジャンミは、「被害にあって苦しいのに、精神的に苦しむ必要がある?正常なことの何が問題なの。トラウマに苦しまないのはおかしいという意識も偏見よ。」と答えます。

 

ジョンオのように「平気だ」という人の声は、なかなかドラマでは描かれないので新鮮でした。

消えない社会問題

劇中では数々の犯罪が取り扱われますが、その多くが不条理さをはらんでいます。

警察内部の揉み消し

ヤンチョンの上司の死に関して、飲酒後に入水したと捏造されます。

学生デモ

大学総長の辞任を要求する学生が座り込みをします。学生の訴えとは関係なく、警察官として職務を全うする葛藤が見えます。

権力の乱用

取締りに応じない議員たち。横柄な態度と暴行にも関わらず、彼らはすぐに解放され、揉み消されてしまいます。権力によって、法律人権も無いものにされる、やるせない現実です。

外国人女性の売春

外国人の就労問題も深刻です。言葉の通じない彼女らは合法だと騙されて働くケースも多いようで、そのような裏ビジネスが成立してしまうことは、人権問題にも繋がる恐ろしいことですよね。

少年法

不良少年たちは、年齢によって少年法に守られている部分があります。罰せられないことは決して救いではないという忠告は、果たして届くでしょうか。

養子縁組

幼児失踪事件を通して、養子縁組の闇を描いています。実際に養子先で、性的虐待暴行を受けるというケースはかなり存在するようです。

 

このような場合には、実態を明らかにするのは非常に難しく、養子にとって一生トラウマとなることが多いでしょう。

DVと母親

家庭内暴力によって壊れた家族。母親は「大丈夫です。助けはいりません。」の一点張りです。しかしそれはあまりにも無責任な発言だと思い知らされます。

性的暴行

何件ものケースが取り上げられますが、被害者の心情と痛みは想像し難いものです。

加害者家族

様々なドラマや映画でも、人殺しの子どもが主人公だったりしますが、彼らには事件から先の一生、厳しい人生が待っているのです。

性教育と保護者

学校でのコンドーム配布性行為を助長するとして、反発する親がとても多いですよね。しかし、妊娠による身体的、そして精神的な葛藤を考えれば、必要であるというジョンオの訴えにも納得です。

駐車違反

通り魔事件で老人が被害に遭います。救急車が到着し搬送しようとしますが、駐車違反の車のせいで、老人は死亡してしまいます。

 

駐車違反は大したことがないように見られがちですが、路上駐車が社会問題である韓国では、いつでも起こりうる危険な行為ですね。

 

恋愛からハッピーなエンディングまで、脚色もかなりあった本作。

 

毎日難事件に立ち向かうというドラマ的台本ではなく、日常に潜む犯罪の数々を洗い出した作品でした。視聴者に説明してくれるような台詞も多く、教育ビデオとドラマの中間のようでもありました。

 

恋愛ドラマというには恋愛要素がかなり少ないですね。

そんな社会派ドラマ『ライブ』。細かな設定まで考えられている作品なので、紹介した以外の人や事件にも注目してみてください!

 

最後までご覧いただきありがとうございます!

 

次回もお楽しみに!😁